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ワケもなく
尺八毎度です。 ギャグ漫画ゲリラ・
中川ホメオパシーの谷桃子担当、ブロッケンです。
ケラリーノ・サンドロヴィッチ脚本・監督の映画『
おいしい殺し方』を観ました。
テレビでおなじみのイケメン料理研究家・東大寺ハルキが謎の投身自殺を遂げた。ハル
キが経営する料理学校の生徒で、殺人的に料理が下手な教師・消崎ユカ(
奥菜恵)は、
彼の死に疑問を抱き、同じく料理が下手な主婦・白石カナエ(
犬山イヌコ)とその友人の山
内清美(
池谷のぶえ)等と共に東大寺ハルキの死の真相に迫る…というあらすじ。
いわゆる“サスペンスもの”と呼ばれるジャンルにおいて何が最も重要視されるかと言えば、
取りも直さず“誰が犯人であるか?”そして“犯行に如何なるトリックを用いたか?”であると
いう事に異論を挟む余地などありませんが、本作はそんな当然のシステムに真っ向から異
論を挟みまくる、型破りな内容。
世にサスペンス映画は星の数ほどあれど、この『
おいしい殺し方』ほど誰が犯人で、どんな
トリックを用いたのかという事実が物語の隅っこへと追いやられている作品を、私は他に知
りません。 つまるところ本作は“サスペンス映画の皮をかぶったシュールなコメディ映画”
であり、強烈な個性を持つキャラクター同士のかけあいの妙や、ツッコミどころ満載の設定
こそが本作のキモなんですね。
物語の本質よりも周辺、つまり“蛇足”や“余談”の部分を積極的にクローズ・アップして、そ
こから生まれるニッチな笑いを積み重ねて作品の流れを形成していくというスタイルの監督
は
ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督の他にも、
三木聡(
転々)や
吉田恵輔(
机のなかみ)、
そして
佐藤佐吉(
平凡ポンチ)などが挙げられるかと思いますが、彼等が手がけた諸作品、
またケラさんの歴代の監督作と比較しても、この『
おいしい殺し方』の(笑えるか否かという意
味での)面白さは群を抜いていると思います。
殺人的に料理が下手で自惚れ屋の女教師・消崎ユカを演じるのは
奥菜恵。 デビュー当初
は正統派美少女アイドルとして、
広末涼子と人気を二分していた
奥菜恵ですが、今やすっか
りすっかり個性派女優のくくりで語られる機会が増えてきました。 そんな彼女の確かな演技
力を、ケラ監督がキッチリとおかしな方向へ導く事により、新たなる魅力が一気に開花、堂々
たるコメディエンヌぶりを披露しております。 ケラリーノ監督作品には欠かせない名脇役・
犬
山イヌコとの呼吸もピッタリで、まるで長きにわたって上演されて来た芝居でも観ているかの
ような安定感すら漂っておりますが、実はこの作品の撮影日程は極めてタイトだったってん
だから驚き。 時間をかけなくたってイイ作品は出来るという好例ですね。
そして特筆すべきは、空気の読めない主婦・山内清美を演じる
池谷のぶえの怪演! これこ
そが、本作の成功に大きく貢献していると言っても決して過言では無いと思います。 一人息
子を事故だか病気だかで亡くし、その代わりとして飼い始めたおしゃべりオウムとのズレた会
話、そして顔面白塗りで踊り狂う前衛劇の辺りはマジでヤバい。 殺されるんじゃないかって
位に大爆笑しましたね。 恐るべし、
池谷のぶえ。
他にも、
奥菜恵の後ろの席に座っている料理学校の生徒が、実は“
恋のから騒ぎ”に出演し
ていた
キャイ~ンの天野君似の彼女(
府中文江)だったり、待ち合わせの目印として
奥菜
恵が手に持っているモグラのぬいぐるみが、チェコの国民的アニメ『
クルテク』のモグラだっ
たりといった小ネタも超満載。 しかし、個人的には
サザンのCD(海のYeah!)を床に叩きつ
けて粉々にする辺りに、単なる小ネタでは片付けられない反骨精神みたいなものを感じ取っ
てしまったんですよね。 サザン=定番・王道の象徴なワケで、それを粉々にするという行為、
これすなわち“メジャーに対する宣戦布告”なんじゃないかなぁ、なんて。…考え過ぎ? いや
いや、ケラさんと言えば80年代サブカルチャーの梁山泊・
ナゴムレコードの総帥ですぞ。骨
の髄までアンチ・メジャーが染み込んだリアル・パンクな御仁ですから、きっと
サザンのCDを
破壊したのにも、何かメッセージが隠されてると思うんだぁ。 …でも僕、
サザンも大好きなん
ですけどね。 うーん、困った(*´▽`*)
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画
- 2010/03/27(土) 14:33:02|
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