中川ホメオパシー 

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神木隆之介 大後寿々花 / 遠くの空に消えた

ババアゾーン
ワケもなくババアゾーン


毎度です。 ギャグ漫画ゲリラ・中川ホメオパシーのスガシカオ担当、ブロッケンです。


行定勲脚本・監督の映画『遠くの空に消えた』を観ました。 うーむ。 実に惜しい映画。

東京からとある田舎の村に引っ越して来た楠木亮介(神木隆之介)。彼の父親は、緑豊かな
この村に空港を建設する為、公団側から遣わされた交渉人であった。金にモノを言わせる
様な父のやり口に反発を覚えつつ、徐々に村の子供達と友情を深めていく亮介。 ある日
亮介は、丘の上でUFOと交信する不思議な少女・ヒハル(大後寿々花)と出逢う…という
あらすじ。

ざっくりと簡単に説明すると、村の豊かな自然と引き換えに空港を建設しようと目論む公団
の大人達と、空港建設に断固反対する村の大人達、それぞれの言い分の狭間に立たされ
た子供達が、自分達だけの力で村を守ろうと立ち上がるってカンジのお話ですね。

まず特筆すべきは、古き良き昭和の日本の里山の風景と戦時中のヨーロッパのファッショ
ンや建築様式とサーカス小屋の華やかさと胡散臭さが渾然一体になった様な世界観でしょ
う。おそらく行定勲監督は、時代や国を限定しない世界観を提示する事で、この作品を時
代の風化から守りたかったのではないでしょうか。

亮介役の神木隆之介クン、野島伸司ドラマ『あいくるしい』の頃と比べると随分大人っぽ
くなりましたよね。声変わりした事も重なって、以前とはかなり印象が異なって来てはいるも
のの、演技の巧さは相変わらず。 東京から越して来た、どこか少し冷めた感じの少年が、
少しずつ村や友達に馴れ親しんで行く過程の微妙な心のうつろいを見事に演じ切っており
ます。

父親を連れ去ったUFOを呼び戻そうと、空に向かって呼びかける少女・ヒハル役の大後
寿々花
も実に自然な演技。 『グーグーだって猫である』でも死んだ猫の亡霊(?)役とし
て出演していた様に、大後寿々花って、どこか浮き世離れした役柄が妙にハマりますよね。 

…とまあこんな具合に世界観も独創性に富んでるし、キャストの演技も素晴らしい、と。
それならばさぞかしグッと来る映画なのだろうと思いきや、意外とそうでもなかったっつう
のが正直なトコロなんですよね。 や、面白かった事は面白かったんですけど、いかんせ
んラストがなぁ…。

大人達にゃ任せてらんねぇとばかりに蜂起した村の子供達が、子供達なりのやり方で空港
建設を阻止するワケなんですが、ハッキシ言ってその程度の事で空港建設が阻止出来るワ
ケねえだろって、思わず突っ込んじゃいましたもん、ボク。
 
それから、大後寿々花が肌身離さずに持っている“隕石のかけら”と亮介の友人・コウヘ
イ(ささの友間)が生物学者の父(小日向文世)から貰った“魔除けの石”がひょんな事から
共鳴し合って、やがてUFOになり(!)、夜空を駆け巡るっつう場面があるんスけど、字
面だけ追ったらかなりアシッドでしょ、この展開。だってさ、隕石のかけらと魔除けの石
との間にいかなる因果があるのかって事に関して一切言及しないまま、イキナリUFOに
変形して空とか飛ばれても、観てるコッチとしてはただただ“?”じゃないスか。三木聡
ケラリーノ・サンドロヴィッチの作品の様に、意味や理屈を駆逐するのが目的の映画
ならいざ知らず、ここまで丁寧に世界観を構築しておきながら、観客に置いてけぼりを喰
わせる様な、飛躍した展開になだれ込むのって正直どうなの?って思いましたね。

行定勲監督は今作の構想におよそ7年半の年月を費やしたと、誇らしげにDVDのパッケ
ージには書かれておりましたが、費やした年月と内容の素晴らしさとが、必ずしも正比例
するとは限らないのだなという事を改めて思い知らされた次第です。 つまらなくはないん
だけどなぁ。  惜しいなぁ。


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